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イタリアで「デザイン」を考える

2023年9月8日。今からちょうどひと月前、ミラノのマルペンサ空港に降り立った。4月のミラノサローネ以来5ヶ月ぶりのミラノ。今回は大荷物で長期滞在だ。3ヶ月の間にここミラノでどれだけのインプットをして、どれだけの学びを得られるか。それなりの緊張をしつつもワクワクのミラノ生活がスタートした。

ミラノに来た一番大きな理由は「デザイン」について考えること。価値創造やイノベーティブ思考を、新規事業開発や経営者育成といった企業の教育プログラムとして提供している中で、「システムとしてものごとを捉えデザインする」ための方法論の開発やプロジェクト支援を行なってきた。しかし、世の中の環境は常に変化する。特にテクノロジーの文脈における進歩は人々の生活にすでに変化をもたらしている。システムデザインの原則は、システムそのものでなくその外側から考えていくこと。この目まぐるしい外側の変化を考える中で、何かが足りない、大切な何かが、とモヤモヤが募る。自分、地に足をつけて大地を踏みしめることができているか?これからもできるのか?大事なことに立ち返る、そんな時間を持たなければいけない気がしてならなかった。

「システム」を「デザイン」する。企業の皆様とこれについて考えるとき、何(what)をデザインする?なぜ(why)デザインする?どうやって(how)デザインする?と分けてみると、whyとwhatの検討にたくさんの時間と脳みそを使う。システムとしてデザインする以前に、そもそもなんのために何を「デザイン」するのか、だ。いわゆる「フェーズゼロ」の検討。自分のモヤモヤを解消することは、必ずフェーズゼロの検討プロセスのブラッシュアップにつながるはずだ。

システムについての学びはそれなりに積んできたが、まてまて、デザインってなんだ?言葉の表層的な定義はわかる。文献やデザイナーの方の言葉からそれなりに理解しているつもりだった。過去5回のミラノサローネの経験からも、なんとなくわかったつもりになってきた気がする。しかし「デザイン」は動詞でもあり名詞でもあるのだ。動詞としての「デザイン」は、それなりにやってきたし教えてきた。しかし、名詞としての「デザイン」はどうだ?「デザイン」って何かを知っていますか?と問われれば答えは「・・・」に近いのかもしれない。足元にある大事なことは、まずここからだ。デザインについてどっぷりと考える時間を作ろう。そう思ってデザインの街ミラノに住むデザインとビジネスの専門家の門を叩いた。

(続く)

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