サッカースタジアムに観客が集まっている写真

【Event Report】イタリアの「テリトーリオ」に学ぶ。ビジネスとデザインの交差がもたらす、次世代の価値創造とは

2025/12/24

2025/12/24

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2025年11月20日、DE-TALES Ltd.とknots associates inc.は、共催イベント「イタリアの『テリトーリオ』に学ぶ ― ビジネスとデザインの交差を探る旅・報告会 + 2026年プログラム告知イベント ―」を開催いたしました。

グローバルな競争とローカルな文脈が複雑に絡み合う現代において、日本企業が新たな価値を見出すヒントはどこにあるのか。本記事では、イタリアでの体験的学習プログラムから得られた洞察と、日本企業への提言を凝縮してレポートします。

当日は、麻布台ヒルズの会場に約30名(満員御礼!)にお集まりいただき、熱心に聞いていただいていた姿が印象的でした。皆様ご来場、誠にありがとうございました。

映像:Ken Anzai

1. 「テリトーリオ」:地域全体が織りなす生きたエコシステム

本プログラムのキーワードは、イタリア語の「テリトーリオ(Territorio)」です。 これは単なる「領土」を指す言葉ではありません。地域の産業、文化、歴史が分かちがたく結びついた「アイデンティティ」そのものを意味します。

2025年5月に実施された体験的学習では、北イタリアのランゲ地方(アルバ)とミラノを舞台に、この概念を肌で感じ取る探究の旅を行いました。

  • アルバでの探究(具体的な体験): スローフード運動の拠点「食科学大学」や、革新的なイノベーションハブ「DIG421」などを訪問。食・教育・建築・産業がバラバラに存在するのではなく、一つのエコシステムとして機能し、地域全体の価値を高めている実態を学びました。

  • ミラノでの昇華(思考の再構築): ミラノ工科大学での講義を通じ、アルバで得た具体的な気づきを「ビジネスとデザイン」という文脈で抽象化。体験を普遍的な知見へと昇華させました。

参加者の声と得られた気づき

この旅には、企業派遣4名、フリーランス2名、大学生1名という多様な方々が参加され、以下のような「気づき」を共有してくれました。

  • 持続可能性と次世代への責任
    「現地では、経済活動が未来への責任と地続きであることを学びました。」ある参加者は、トリュフの森のあり方から、その本質を見出しています。

  • 共有知による地域価値の最大化
    「個社の利益追求が「テリトーリオ」全体の価値向上にどう繋がるのか、その驚くべきエコシステムを目の当たりにしました。」

  • 関係性を創造するデザイン
    「イタリアでは、デザインはモノの形ではなく、関係性を生み出す行為として捉えられています。その実践を、参加者は肌で感じ取りました。」

  • "生きたデザイン"としての文化
    「都市そのものが、時間をかけて紡がれたデザインの結晶であることを目の当たりにしました。」

プログラムの本質的な価値を伝えてくださっています。この素晴らしい体験と深い学びを、2026年にはさらに昇華させた形でお届けします。

2. 特別講演:新ラグジュアリーと「高い質」への問い直し

(講師:安西洋之氏 / ビジネス・文化デザイナー)

イベントの核となった安西洋之氏の講演では、**「新しいラグジュアリーとは『高い質』への問い直しである」**という本質的なメッセージが提示されました。

ラグジュアリーの条件をデザインする

安西氏は、「ラグジュアリーそのものはデザインできないが、ラグジュアリーと思われる『条件』はデザインできる」と語ります。その鍵を握るのが「意味のイノベーション」です。

  • 「弱い近代性」: テクノロジーで過去を消し去るのではなく、歴史や自然と溶け合い、尊重し合う関係性。

  • 「ノウハウ(saper fare)」: 単なる技術を超え、地域コミュニティに受け継がれてきた「なすべきことを知っている」という集合的な知恵。

これらこそが、AI全盛の時代において、模倣不可能な「意味」を創出するための源泉となります。

3. 日本企業への示唆:ブランディングから「ヘリテージ」へ

イタリアと日本には、中小企業や老舗企業が経済を支え、伝統を重んじるという共通の基盤があります。本プログラムを通じて得られた、日本企業への具体的な提言は以下の2点に集約されます。

① 「活かす」視点への転換

多くの日本企業が「ブランディング(作る)」に腐心していますが、今求められているのは、歴史の中で積み重ねられた資産を再発見する「ヘリテージ(活かす)」の視点です。自社の歴史に眠る「時間の蓄積」を価値へと転換することが、価格競争から脱却する鍵となります。

② 定性的価値から「数字」を生み出す

「売上や利益(定量的評価)」を追った結果として価値を作るのではなく、まず「企業としての意味や文化(定性的評価)」を高めることに注力する。その結果として、後から経済的な数字がついてくるという、発想の逆転がイタリアの成功モデルにはあります。

4. 2026年「探究の旅」への招待

この唯一無二の体験を共有するため、2026年度のプログラム実施が決定いたしました。自社のヘリテージを見つめ直し、次世代のビジネスを構想するリーダーの皆様のご参加をお待ちしております。

【2026年プログラム概要(案)】
  • 日程: 2026年5月24日(日)~ 5月30日(土)

  • 訪問地: イタリア北部(ランゲ地方アルバ、およびミラノ)

  • 主な内容: ステークホルダー訪問、ミラノ工科大学でのデザイン講義・ディスカッション、ミュージアム視察等

  • 定員: 約10名

■ 先行予約・お問い合わせ
正式募集は2026年1月を予定しております。先行予約や詳細をご希望の方は、下記までご連絡ください。
contact@knotsassociates.com

■ 企業様向けご案内資料
企業様向けの参加ご案内資料をご用意しました。 ご希望の方は「企業向け資料希望」と記載の上、下記までご連絡ください。
contact@knotsassociates.com
・企業様名
・ご担当社名
・ご担当者様ご連絡先
もお書き添えください。

主催: DE-TALES Ltd. / knots associates inc.

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