
プロジェクト報告:「Design Journey in Milan」— スポーツの卓越性をデザインで導く5日間
プロジェクトの背景
昨秋から準備を進めてきた特別研修プログラムが、3月、ミラノの地で結実しました。
株式会社ユーフォリア企画のもと、POLI.design(ミラノ工科大学)の監修による5日間のプログラムです。knots associatesにとっては、POLI.designとの初の協業プロジェクトとなりました。
現代のビジネスにおいて「デザイン」は、見た目を整えるための手段ではなく、ブランドの価値を再定義し、顧客体験を設計するための経営資源です。なかでも、感性と機能性が高度に絡み合うスポーツビジネスの領域において、イタリアが長年培ってきたデザインマネジメントの知見は、日本企業がグローバルな競争力を獲得するうえで重要な示唆を持っています。
プログラムの概要
テーマ:Sports Excellence through Design(デザインによるスポーツの卓越性) 期間:3月16日〜20日(5日間) 拠点:ミラノ工科大学 Bovisa Campus
M. Turinetto教授、P. Beltrami教授を中心とした学術講義と、ミラノ市内および周辺都市でのフィールドワークを組み合わせた「ジャーニー(旅)」として設計されました。
講義では、スポーツにおけるブランド戦略、ライフスタイル全域への価値拡張、ロッシニョールグループのケーススタディ、そして次世代のエクスペリエンス・エコノミーのトレンドまで、イタリアデザインとスポーツビジネスの交差点を幅広く学びました。これらの講義は知識を得る場であると同時に、その後のフィールドワークを読み解くための「視点」を参加者に渡す役割も担っていました。
フィールドワーク:現場で見たイタリアの実践
教室を出ると、そこにあったのは「美意識とビジネス戦略が融合した現場」でした。
Technogym / Starpool では、物理的なプロダクトにデジタルと洗練されたデザインを統合し、「ウェルネス」という体験そのものをブランド化する手法を視察。Starpoolが体現するリラクゼーションの科学的・意匠的設計には、イタリアならではのクラフトマンシップがありました。
Casa Milan / Juventus Store / Ferrari Store では、ファンの熱量をいかにエンゲージメントへ変換するか、その空間設計の思想に触れました。単なる物販を超えた「聖地」としての設計には、ブランドと顧客の関係を再定義するヒントが詰まっています。
Calcio Como / Lega A & B では、クラブとリーグが地域社会やメディアを巻き込みながらプラットフォームを構築するエコシステムの設計を議論しました。Jリーグを含む日本のスポーツ組織にとっても、示唆の多い対話となりました。
Olimpia Basket(EA7)/ Rosso Corsa Ferrari では、歴史あるブランドが「卓越性(Excellence)」を守りながら現代にアップデートし続けるマネジメントの神髄に触れました。2008年のアルマーニによる買収から再建を遂げたオリンピア・ミラノの事例は、ブランドの継承と変革を考えるうえで特に印象的でした。
5日間から抽出された3つのインサイト
knots associatesの視点から、今回の旅で得た示唆を3点に整理します。
ブランド拡張とライフスタイルへの浸透
訪問したすべての現場で、スポーツの枠を超えた日常生活との接点が丁寧に設計されていた。「体験の設計」によるエンゲージメントの深化
空間・動線・素材にいたるまで、意図を持って設計された体験が顧客との深い関係をつくっていた。文化的背景の戦略的活用:美意識と職人文化
長い歴史を「ヘリテージ」として現在のブランド価値に直結させる実践が、随所に見られた。
今後の展望
今回のPOLI.designおよび株式会社ユーフォリアとの協働は、knots associatesがグローバルな知見を日本へ還元するための機能を鮮明にする機会となりました。
「Design Journey」で得た学びを、活動報告として留めるつもりはありません。ミラノ工科大学の学術的な厳密さと、イタリアのスポーツ産業が持つ実践知を融合させながら、スポーツをはじめ、さまざまな領域の日本企業・組織のブランド戦略や価値創造に、引き続き貢献してまいります。




